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遺産分割調停手続きについて

2024.06.20

第1、遺産分割

 

 父親(被相続人)が亡くなり、母親、長男、長女などがいた場合、遺言書がない限り、相続人である母親、長男、長女で遺産分割をしなければなりません。 

 この場合、相続人全員が家族の仲が良く遺産分割においても争いがない場合は、相続人全員で遺産分割協議をして合意をした内容で遺産分割協議書を作成すればいいこととなります。

 しかし、家族仲が悪く、相続人間で遺産分割協議ができない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てをする必要があります。

 

第2、遺産分割調停手続きとは

1、遺産分割調停手続きとは

 遺産分割調停手続きとは、家庭裁判所において、家庭裁判所の調停委員を交えて遺産分割の話し合いをする手続きとなります。ですから、遺産分割調停手続きは、裁判と異なり、判決などを下すことはありません。

 遺産分割調停手続きは、調停委員を交えて相続人間で遺産分割の話し合いをする手続きとなりますので、協議のうえ合意に至れば調停成立となり、遺産分割調停手続で全員の合意に至らなければ遺産分割調停手続きは不調となり遺産分割審判に移行することとなります(遺産分割調停手続で相続人全員の合意に至らず調停不成立となった場合は、家庭裁判所で遺産分割審判手続に移行して裁判官が遺産分割について審判を下すこととなります)。

 遺産分割調停手続きの管轄裁判所は、相手方の住所地管轄の家庭裁判所か相続人全員で合意した家庭裁判所となります。

 遺産分割調停手続きでは、相続人全員から相続人の範囲の確定(誰が相続人か)、相続財産の確認(遺産として預金、不動産などどのような遺産があるか)、相続財産の評価(不動産の時価の評価をどうするか)、遺産分割の方法(遺産分割の方法として、誰がどの遺産を現物で取得するのか、誰が誰に代償分割で金銭で支払いをするかなど)を調停手続きのなかで争点整理して協議を進めていきます。

 

 遺産分割調停手続の調停委員は家庭裁判所から委嘱を受けた弁護士、司法書士、税理士等の有識者が調停委員として選任され、相続人間の遺産分割協議の調停合意に至るように相続人間の争点整理や合意に向けた助言等をしていただくこととなります。

 遺産分割調停手続きにおいては、申立人側と相手方側から交互に話しを聞くこととなり、相手方と家庭裁判所で同席する必要は通常ありません。

 

 遺産分割調停手続の期日は、1~2ヶ月に1回程度の間隔で開催され、遺産分割調停手続きにかかる期間としては事案にもよりますが、1年前後の期間を要する事案が多いと考えます。

 遺産分割調停手続では調停委員は毎回期日に同席されますが、家庭裁判所の裁判官は毎回手続きに参加するとは限らず、法的論点や和解案などの検討を要する場合に調停委員が裁判官と協議・検討をして手続きを進めていくということとなります。

 遺産分割調停手続きは、本人で手続きをすることもできますが、遺産総額が相当程度ある場合、遺産分割の分割方法等をめぐって相続人間で対立が激しい場合、相手方も代理人に弁護士を立ててきている場合など、専門家である弁護士を代理人に選任して対応した方がいい場合が多いと考えます。

 

 以上のとおり、相続人間で遺産分割協議による合意が難しい場合は、家庭裁判所に遺産分割調停手続きの申し立てをすることを検討する必要があると考えます。遺産分割が実現せずに未分割のまま時間が経過してしまうと、結局相続人は誰も被相続人の遺産を取得できないという状態が続いてしまうので、相続人間で遺産分割協議により合意ができない場合も、その状態を放置せず、出来るだけ早急に家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てを検討したほうがいいと考えます。

 

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筆者紹介

柳沢 賢二
柳沢法律事務所
弁護士

一、弁護士として、依頼者のために、一つ、一つの案件について、専門家としての①専門性の高いサービスを、②迅速に提供することを心がけています。そして、常に依頼者のために、一つ一つの案件を全力で取り組んでいきます。

二、今、高齢者社会において、相続の問題は誰もが直面する重要な問題だと思います。今までの自分の人生の集大成を納得のいく形で終えれるように、残された家族の方々が困らないように、専門家として皆様の力になれる適切な解決方法の提案やアドバイスをしていきたいと思います。

三、相続の分野でも、紛争後の裁判所での訴訟業務だけでなく、紛争を事前に防ぐ予防法務的な視点から、遺言書の作成、任意後見・成年後見の活用、事業承継のアドバイスなどにも力をいれ、皆様の力になれるアドバイスをしていきたいと思っています。

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